俺と会長は芝生広場に向かって歩いていた。
 俺がそこに行きたくて、そこでいいか会長に尋ねたのは道場を出てすぐのこと。
「司にしては妙にメルヘンな場所な気がしてならないんだけど」
 周りのリスの石造見ながら言われる。
「俺の趣味なわけがないでしょう」
「あぁ、翠葉ちゃんか」
 ここは翠が好き好んでよく来る場所。
 リスの石造が五体あるベンチ。
「何を思ってこんな吹きさらしのところへ来るんだか……」
 そうは思うものの、自分もここが好きになりつつある。
 陽の当たる芝生やスプリンクラーが回ったときにできる弧。
 翠はそういうものひとつももらさずに見ていたのだろう。
 だから飽きることなく足を運んでいた。