光のもとでⅠ

 女子に自分から話しかけることはなく、男子にだって自分から話しかけるということをめったにしない。
 いつも教室の窓際で視界に本しか入れてないような人間で、人を寄せ付けない雰囲気をまとっていた。
 こんなやつ、本当に懐柔できるものか、と思い続けて今に至る。
 相変わらず学校外での付き合いはない。
 けど、ひとりの女の子と出逢ってから司は変わった。
 あの司が自分から女子に声をかけた。
 それだけでもかなり衝撃的な進歩っていうか、進化か……?
 俺たちとも必要以上の会話などしなかったのが、最近では日常会話くらいはするようになったと思う。
 突っ込んだことを訊いても何かしら反応するようになった。
 一年以上にわたる俺の努力よりも翠葉ちゃん効果かよ……と落胆したくもなるけれど、そう思っているのは俺だけじゃなくて、朝陽やケンなんかは幼稚部の頃から絡みまくって今の状態だ。
 俺なんてまだ一年半なんだよね。