「藤宮先輩ってカラオケとか誘ってくる人なんですかっ!?」
 ははは、そこに食いついたか。
 あぁ、来ないさ。来たためしがないさ。
 俺の半笑いに答えを悟った佐野くんは、
「ですよねぇ……」
 でもさ、それじゃダメなんだ。
「そこで引いたらそこまでなんだよね。その先は得られない」
「あぁ、それはそうかも……。そのあたり、ちょっと御園生と似てるかな」
 翠葉ちゃんか……。
 確かに、あの子も人見知りというか、ものすごく警戒網を張り巡らせていた記憶がある。
「これ、極秘というか俺が生徒会に入ることになった経緯なんだけどさ――」
 佐野くんになら話してもいい気がした。
「俺の生徒会でのミッションはさ、司と友達になることなんだ」
 もとからそういう名目で生徒会に誘われたのだ。
 俺にそんな話を持ちかけたのは茜先輩と会長だった――。