光のもとでⅠ

 個人競技同士、そんなメンタル面で彼らは似たような境遇を経験している。
 うちの学校の特待生は学力面で優遇されることはない。
 そのことを不思議に思っていたけれど、もしかしたら文武両道以前に、特待生を孤立させないためじゃないかという気がしてきた。
 特待生が受けられるのは学費の免除と部活にかかる一切の費用。
 ほかは何もない。
 テストの点数が悪ければ特待生扱いから一般生徒への扱いに変わるし、追試が免除されるわけでもない。
 他校の特待生に比べると優遇されることが非常に少ないのが藤宮の特待枠だ。
 一般生徒であっても、この学校の偏差値をクリアするのには四苦八苦している。
 そのうえ、スポーツの特待枠が取れる人間っていうのは――。
「佐野くんってすごいな?」
「は?」
「いや――あのさ、先輩後輩じゃなくて友達にならない?」
 俺はそういう付き合いをしてみたいな。