光のもとでⅠ

 俺も水泳でそうだからよくわかる。
 そのうえ、特待生という枠は別格すぎる。
 なのに、佐野くんはそういう立場にありながらもちゃんと高校生活を楽しんでいると思う。
 部活一色になりきらずに……。
 特待生になると、高校生活なんて取ってつけたようなそんなものになることが大半だ。
 でも、佐野くんは――期待という重圧に負けず、高校生としての顔も持てるだけの器量がある。
 どこの学校でもよくあること。
 特待生という枠で入学し、羨望の眼差しと嫉妬に雁字搦めにされ、さらには高校生活から引き剥がされるように部活に専念させられ限られた狭い世界で自分と闘う環境を強いられる。
 ゆえに、メンタルの部分から挫折する人間は少なくない。
 あぁ……だからか。
 ある意味、司とも対等なんだ。
 司は特待生じゃない。
 でも、インハイ出場者で常に赤丸首席をキープ。