光のもとでⅠ

 こりゃもしかしたらもしかしなくても、少し感情的にシャウト気味に歌う司が拝めるかもしれない。
「ってことは実のトリはこれ?」
「当たりっ! 全校女子生徒に感謝してもらえそうですよね! 第三部のラスト三曲目に茜先輩の『茜色の約束』。そのあとに藤宮先輩の『何度でも』を持ってくれば完璧じゃないですか。会場だってスクリーンを見せられたあとで沸いてる状態でしょうし、その状況下でこのテンポの曲っていい感じだと思いますよ」
「やばい……楽しみになってきた」
「悪巧みとは苦労して企む側が報われるためにあるものです」
 そう言った佐野くんはとても楽しそうで、心からこのイベントとを楽しんでる高校生で――。
 さっきまでフィールドに立っていた佐野くんとは全く違った。
 フィールドにいるとき、佐野くんはとても孤独だ。
 ひとりで闘う競技種目というのはそうなりがち。
 それが当たり前。