「これだけ歌ったのに気づかないっていう状況をそれとなく藤宮先輩に吹き込めばいいじゃないですか」
さらりと言いやがった。
「さすがの藤宮先輩でもイラッとするでしょうね……。あぁ、不機嫌そうなのはいつものことですけど。ついつい何かに八つ当たりしたくなるような心境にはなりますよね? そこで、茜先輩の『茜色の約束』で自分たちの写真が使われていたら拍車をかけてイラッとするでしょう? で、最後に『何度でも』を歌ってもらう、と」
ケロリ、とした顔で歌詞のプリントをファイルから出す。
「あぁ……すげぇぴったり……」
佐野くんが満足そうに「でしょ?」と笑った。
「相手は御園生ですからね」と含み笑いをしてから、
「御園生が気づかないからっていう理由だけで藤宮先輩が御園生を諦めるとは思えないし、だとしたら何度でもがんばるしかないでしょう? 必然と感情移入することになると思いません?」
「思う」
いやはや、なんていうかさすがとしか言えない。
さらりと言いやがった。
「さすがの藤宮先輩でもイラッとするでしょうね……。あぁ、不機嫌そうなのはいつものことですけど。ついつい何かに八つ当たりしたくなるような心境にはなりますよね? そこで、茜先輩の『茜色の約束』で自分たちの写真が使われていたら拍車をかけてイラッとするでしょう? で、最後に『何度でも』を歌ってもらう、と」
ケロリ、とした顔で歌詞のプリントをファイルから出す。
「あぁ……すげぇぴったり……」
佐野くんが満足そうに「でしょ?」と笑った。
「相手は御園生ですからね」と含み笑いをしてから、
「御園生が気づかないからっていう理由だけで藤宮先輩が御園生を諦めるとは思えないし、だとしたら何度でもがんばるしかないでしょう? 必然と感情移入することになると思いません?」
「思う」
いやはや、なんていうかさすがとしか言えない。


