作戦タイム――それは俺と佐野くんの娯楽時間と化していた。
 仕事はそれなりに忙しいものの、この時間はかなり楽しいと思う。
 場所は外。
 何ってフィールド脇にある観覧席となる幅の広い階段に座っている。
 今は部活中の彼の休憩時間。
 佐野くんは特待生ということもあり、ほかの人間ほど融通がきかない。
 学校行事に何があろうと部活が優先される。
 けれど、今となっては紅葉祭関係者の要に近い存在でもあり、彼がこっちに来れないときは俺が出向くことになっていた。
 まるで公園のベンチで囲碁でもやっている年寄りみたいに、互いの間にノートやファイルを広げ、あーでもないこーでもない、と話している。
 間違いなく、この場には不釣合いな光景だと思う。
「で、ですよ――」
 始まった、佐野くんの悪巧みが。