「何それ」 心底不思議そうな顔をして俺を見る翠。 でも、教えてやらない。 ふたりで行くと勘違いして嫉妬した自分をさらけ出すのにはまだ時間がいる。 「企業秘密。ほら、栞さん待たせてるから上に移動」 そう言って、十階へと上がる階段に向かった。