俺は薬を処方できるわけでも治療をできるわけでもない。
 それなら、言葉でくらい安心を与えることはできないだろうか。
 否、これくらいは今の俺でもできると思いたい。
 携帯をテーブルに置き、飲み物を淹れに行くことにした。
 その場にいたら、もっとぐちぐち説教をしてしまいそうだったし、そうすると訊きたいことも訊けなくなりそうだったから。

 キッチンに入り、ケトルに水を入れて火にかける。
 持続的に血圧が低いわけではないけれど、立ちくらみのあとならローズマリーだろうか……。
 いくつか並ぶ缶とカゴに入ったティーパックを前に悩む。
 あの部屋にいたということは、俺たちが来るまでは休んでいたのかもしれない。
 そう思えば必然的に手が伸びるハーブティーがある。
 モーニングティーだ。