でも、実はそうじゃないのか……?
「司、かばんは返してあげる」
 目の前に差し出されたかばんを受け取る。
「翠葉ちゃんに会いに行く? 行かない?」
「……行きます。行って、本当にそうなのか、翠の口から聞きたい」
「うん、それがいいと思う。じゃ、電話しよっか」
 茜先輩が自分の携帯から翠に連絡を入れた。
 校門を出て一般道の近くにいるからマンションまで――翠のいるところまで十分とかからない。
 会って――まず最初に何を口にしたらいいだろう。
 昨日怒鳴ったことは謝罪するべきだ――。