たかだか紅葉祭。
 もっと淡白に切り抜けてきたはずなのに。
 耳に木霊するのは茜先輩の言葉。
 ――「司が一日抜けたからといって全部が滞るわけじゃないの」
 もっともだ。
 それを否定したくなるのは――。
 ――「私がいなくても困らないよね」
 翠の言葉と重なったから。
 俺がいなかったら翠は――困る? それとも困らない?
 つまり、翠がいつも怯えているのはこういうことなのか――?