光のもとでⅠ

「茜先輩、あと二十分もしたら打ち合わせの時間ですよ」
 俺の勘違いでなければ、茜先輩はクラス委員と実行委員の打ち合わせのためにここへ戻ってきたはずなんだが……。
「久、ごめん! 私重大な用事ができちゃった」
 重大な用事と言いつつ俺を指差す。
 重大な用事って何……? ボイトレ?
 いや、ボイトレってそんなに重大じゃないだろ。
「うーん……それは重大だね。仕方ない、いいよ。こっちは俺と桃ちゃんでなんとかする。でも、それは?」
 今度は会長がこのテーブルに積まれているものを指差した。
「ん? これ? これはぁ……優太と誰かにがんばってもらう!」
「誰かって……今日は翠も休みだし、俺が抜けると誰も――」
「それでもっ! 今は私と歌のレッスン! ほら行くよっ!」
 なんで重大な用事が歌のレッスンなんだか……。