光のもとでⅠ

 一時間ほどすると、
「司、ちょっとたんまっ。俺、集中力がもたないっ」
 優太はファイル片手に席を立ち、「ちょい打ち合わせ行ってくるっ」と図書室を逃げ出した。
 これだけの金額を調整するともなれば、さすがに休憩は必要だろう。
 支給金の調整に関してはかならずふたり以上の人間でやるようにしている。
 誤差を出さないための対策として。
 優太がいなければ、必然的に作業は止まる。
 仕方ない――。
 ほかの業者から上がってきている見積もりのチェックを済ませるか。
 優太と入れ替わりで戻ってきたのは茜先輩。
 ノートパソコンのスタンバイモードを解除すると同時、茜先輩に話しかけられた。
「司、今日は私に付き合って?」
「は?」
 茜先輩が自分のかばんと俺のかばんを持って図書室から出る準備をする。