光のもとでⅠ

 弓を持つにはまだ早い。
 今、矢を放ったところで的中させる自信はない。
 ならば、射法八節の動作をさらおう。
 淡々と一連の動作を繰り返していると、幾分か気持ちが落ち着いてきた。
 そこで弓を取り、実際に矢を射る――四射皆中。
 矢を射るのは四射に留め、弓を置き、ほかの部員が来る前に道場の水拭きを済ませ、道場をあとにした。
 時刻はまだ七時半。
 一時間半は道場にいた。
 そして、今は桜香苑手前の芝生広場にいる。
 翠が好きなリスの石造があるベンチだ。
 また、ここで話したりできるようになるのか……。
 翠が相手というだけで、どうしたらこんなにもペースを乱す羽目になるのか。
 常に予測不能で落ち着かない。