バイタルが転送されていたら気づけるのに、というのは驕りではないのか。
 バイタルチェックは常に姉さんや秋兄、御園生さんがしている。
 それに今は相馬さんも加わった。
 その人たちが今回動かなかった理由はどこにあるのか――。
 あのバングルをつけることで翠は「自由」を得たはずだった。
 でも、俺がバイタルチェックをしていたら、その「自由」すら奪いかねなかった。
 ありとあらゆる面で、自分の未熟さと傲慢さに嫌気がさす。
 早めに手を打つことは悪いことじゃない。
 けれど、それを今まで嫌というほどに体験してきて何もできなくなってしまった翠だからこそ、あの装置が画期的といわれたのではなかったか――。
 今日の落ち度はそんなところ。