「わかったっ、ツカサって呼ぶから周りの人に迷惑をかけるのだけはやめようっ!?」
「……翠が最初から先輩をつけないで呼べば済むことだったんじゃないの?」
 少し勝ち誇った気分でそう言えば、
「ツカサのカバッ。わからずやっっっ」
 と、背を向けられる。
 後ろ姿でも手の拳を見れば、どの程度力を入れて握っているのかは一目瞭然。
「優太先輩、五分休憩ください」
 翠は俺にではなく優太に許可を求め図書室を出た。
 それを追って簾条が図書室を出る。
「司、やりすぎじゃないの?」
 朝陽に声をかけられた。
「別に……」
「翠葉ちゃんにだけは甘いと思ってたのに、そうでもない?」
 そんなことを訊いてくるのは優太。