目の前にある賞状――何がどう悪いというわけではないが、集中しきれていないと自分がわかっているだけに、邪心のこもった字に思えた。
 衝動に任せ、これを丸めて捨てることができたら少しはすっきりするだろうか。
 そんなばかげたことを考えていた。
「……きれい。……するいなぁ……」
 気づけば、すぐそこに翠がいた。
 顔を上げたり視線を移す必要もないところまで翠が来ていて、テーブルに顎を乗せている。
「何が?」
「頭が良くて、スポーツできて、格好良くて、そのうえ字まできれいってどれだけ嫌みなんだろう、って思っただけ」
「………………」
「ツカサっっっ、墨垂れるっっっ」
 咄嗟に右手を掴まれ我に返る。
「もうっ、急に固まらないでよっ」
 おまえな……。