図書室の自動ドアの脇で壁にもたれて柄悪く座っている。
 俺たちに気づくと、「しーっ!」と口もとに人差し指を立てた。
 皆顔を見合わせ不思議に思いながら近づく。と、図書室の中から小さな声が――歌声が聞こえてきた。
 翠の声……紅葉祭で歌うものだろうか。
 俺の知らない歌だけど、きれいだと思った。
 簾条が、「聞き惚れた?」などと訊いてくる。
 うるさい……。
「これ以上は待てない」
 そう言って、先陣を切り指紋認証をパスしてロックを解除した。
 翠が顔を上げると、
「最後の集計やるよー!」
 会長が指揮を執る。