桜林館へ戻ればほかの生徒会メンバーに捕まる。
「翠葉、大丈夫だったの?」
 詰め寄ってきたのは嵐。
「問題ない」
 むしろ、問題があるのは俺だ。
「あぁいう方向に話が進むとは思わなかったわ」
 茜先輩の言葉に、茜先輩もイヤホンを渡されていたことを知る。
 それならきっと、会長も内容は知っているのだろう。
 ほかの二年メンバーは不思議そうな顔をしているけれど、細部まで話す必要はない気がした。
 嵐も優太も聞きたそうにはしているが、教えるつもりはない。
 そして、茜先輩も俺に便乗してくれるようだ。
 ただひとり飄々としているのは朝陽。
 朝陽はさっきの俺を見ているから、それだけで珍しいものが見れた、とでも思っているのだろう。
 なんだか色々と最悪だ――。