光のもとでⅠ

「……ごめんなさい……」
「中身のない謝罪はほしくないかな」
 どうしよう、本当に怒ってるんだ……。
 でも、どうして……?
 わからなくて、怖くて、目に涙があふれる。
「……ごめん――でも、好きな子に自分じゃなくてほかの誰かがつりあうって言われて嬉しいわけないでしょ?」
 秋斗さんもラグに視線を落とした。
「ど、して……?」
 震える声をなんとか絞り出す。
「どうして、か――。本当に何もわからないんだな」
 と、こちらを向いていた体をドアの方へと向けた。
 背中を向けられ、私からは表情を見ることもできない。
 ただ、脱力していることだけはわかった。
 不安だけが大きくなってどうしたらいいのかわからなくなる。
 そしたら自分の呼吸が上がり始めた。
 ――どうしようっ。
 流れる涙はそのままに口を手で押さえ、体を壁側へ向けた。
「……翠葉ちゃんっ!?」
 苦しい、どうしよう……。
 いつもよりも息が上がるペースが速くて、自分でコントロールができない。
 体を丸めるようにして、必死で口もとを押さえた。