だったら、その蔓をとっとと伐採してこい、と言いたいところだが、人の噂は七十五日ともいう。
 放置しておくに越したことはないのかもしれない。
「和総から――あぁ、さっき介入した風紀委員、河野和総から姫の体調についてはかいつまんで聞いてるわ。だから、手を上げられる前に介入する。それは二学期に入ってすぐに決まっていたこと。ご心配なく」
 言うと、青木はテラスから階段も使わずに一階へと飛び降りた。
 相変わらず身軽な……。
 体操部が喉から手が出そうなくらいに欲しがっている人材というのはわからなくもない。
 まるで忍者のような人間。それが青木沙耶――。