「ふーん……本当に特別なのね?」
 特別かどうか、と言われたら「特別」だ。
 けど、そうではなく――。
「噂に関することかしら?」
「それ、噂って?」
「本当にそういうことに関心ないのね? 自分の名前が上がっている噂くらい把握しておきなさいよ」
 呆れつつも内容を教えてくれた。
「姫が拒食症だとか、姫の親が藤宮病院と懇意にしてるから藤宮くんが姫を無下にはできないとか。ほかにもいくつかあるわ。――すんごい眉間のしわ……。それ、痕つくんじゃない?」
 眉間のしわなんてどうでもいい。
「それ、違うから」
「わかってるわよ。そんなの少し調べればわかることだし。第一、そういうのに左右されないのが藤宮くんでしょう? ったく……噂にもほどがあるわよね。あり得もしない噂がこうも蔓延するんだから」