作戦会議らしきものを済ませ観覧席に座る翠を見れば、ピルケースとペットボトルを手にしている。
 俺の視線に気づいた翠が、「何?」とでも言うように首を傾げる。
 何って訊きたいのはこっちだ、阿呆……。
 自分の手元を指差すと、「あ」って顔をしてすぐに薬を飲む。
 そして、薬を飲み終えると「大丈夫」と口にした。
 呼び出しがあったさっきの今で「大丈夫」と言われても、それを信じていいものか……。
 でも、こういうところでは嘘はつかれない。隠されない。
 そんな自信が俺にはあって――だから、俺はその言葉を額面どおりに受け取ることにした。
 もとより、そろそろ試合に意識を戻すべきだ。
 相手は一年B組。
 一学期の準決勝でも当たっている。