光のもとでⅠ

『それで今の呼び出しだよっ!?』
『河野くん、噂はどんなに否定しても否定した分だけ尾ひれがついて、噂が助長するでしょう? でも、今の先輩みたいに直接訊きにきてもらえたら、私は違うことは違うって否定できるの。だから新鮮だな、って思った』
 この場はこの風紀委員に任せても問題ないかもしれない。
 俺ではない第三者に言われるほうがいいこともあるだろう。
 行き先が不確かになっていた自身の足を桜林館へと戻す。
『頭痛い? 大丈夫?』
 風紀委員、悪いな。
 そんな返事をされたら頭だって痛くもなる。
『あのさっ、嫌なこと訊くんだけどっ。中学んとき、どんないじめにあってた?』
 中学のとき、か――。
 俺はゴールデンウィークに公園で会った人間しか知らない。
 けど、あれを見ただけで十分だ。