光のもとでⅠ

 その後ろ姿を肩越しに見て思う。
「俺にばれないと思ってる時点で浅はかだろ」
 イヤホンからはまだ会話が聞こえてくる。
『ま、内容的にはそれほど過激なものじゃなかったけど、あと少しで顔殴られるところだったじゃん』
 っ――!?
 翠が今一番恐れているのは衝撃や振動だ。
 殴られるなんて冗談じゃない――。
 なのに、翠はそのことではなく風紀委員の試合のことを気にする。
 すると、風紀委員は切々と翠に説教を始めた。
 このまま盗み聞きしているのは忍びなく、その場に参戦したい気もした。
 けれど、もう少しだけ話の成り行きを見守ってみようか……。
『今の、呼び出しとかリンチってやつなんだけど、御園生ちゃんわかってる?』
『え? 今のが……?』
 やっぱりわかってなかったか……。