それなら俺は一階からその場へ向かうべきだ。
人がまばらにいる外周廊下を突っ切り、特教棟の入り口へ向かう。
『あのね、今ちょっとお話をしているから先に――』
「お話」じゃないだろ……。
そう思ったとき、特教棟の一階から二年の女子が出てきた。
俺と目が合うなり視線を逸らす。
写真では後ろ姿だったが髪型が同じ――間違いないな。
俺を避けて通ろうとした人間の前に立ち、
「ちょっといい?」
声をかければびくりと肩を震わせる。
「な、何かしら」
女は口もとを引きつらせ身を引いた。
イヤホンから聞こえた声と一致。
「次に翠を呼び出すときは俺も一緒に呼び出してほしい」
笑顔で言えば血の気の引いた顔で、
「私、何も知らないわっ」
と、桜林館へ向かって走り出した。
人がまばらにいる外周廊下を突っ切り、特教棟の入り口へ向かう。
『あのね、今ちょっとお話をしているから先に――』
「お話」じゃないだろ……。
そう思ったとき、特教棟の一階から二年の女子が出てきた。
俺と目が合うなり視線を逸らす。
写真では後ろ姿だったが髪型が同じ――間違いないな。
俺を避けて通ろうとした人間の前に立ち、
「ちょっといい?」
声をかければびくりと肩を震わせる。
「な、何かしら」
女は口もとを引きつらせ身を引いた。
イヤホンから聞こえた声と一致。
「次に翠を呼び出すときは俺も一緒に呼び出してほしい」
笑顔で言えば血の気の引いた顔で、
「私、何も知らないわっ」
と、桜林館へ向かって走り出した。


