球技大会は先に屋外競技の決勝が終わるようにタイムテーブルが組まれている。
屋内競技の決勝が始まる頃には全校生徒がこの体育館に集ってくる。
そうなってからでは身動きが取れなかっただろう。
その前で良かったとは思うものの、全速力で走れるほど人がいないわけでもなく……。
イヤホンからは途切れることなく会話が聞こえてくる。
一瞬足を止めそうになる翠の対応。
『後輩が先輩を呼ぶとき、友達であっても「先輩」をつけないとおかしいのでしょうか?』
ふざけるな――知らない人間に何を言われたからって呼び方を変えたりしたら許さない。
俺の苦労を踏みにじってくれるな。
相手の女は、
『……いつも一緒にいるのも腹立たしいわ』
俺はおまえの存在のほうが腹立たしい。
成績を下げて生徒会をやめろとか、その理不尽とも思える言葉にすら翠は真面目に答えを返していた。
屋内競技の決勝が始まる頃には全校生徒がこの体育館に集ってくる。
そうなってからでは身動きが取れなかっただろう。
その前で良かったとは思うものの、全速力で走れるほど人がいないわけでもなく……。
イヤホンからは途切れることなく会話が聞こえてくる。
一瞬足を止めそうになる翠の対応。
『後輩が先輩を呼ぶとき、友達であっても「先輩」をつけないとおかしいのでしょうか?』
ふざけるな――知らない人間に何を言われたからって呼び方を変えたりしたら許さない。
俺の苦労を踏みにじってくれるな。
相手の女は、
『……いつも一緒にいるのも腹立たしいわ』
俺はおまえの存在のほうが腹立たしい。
成績を下げて生徒会をやめろとか、その理不尽とも思える言葉にすら翠は真面目に答えを返していた。


