光のもとでⅠ

「代わるよ」
「は?」
「気になって試合に集中できないくらいなら行ってこい」
 耳を指されてそう言われた。
「…………」
「バーカ、こういうときに躊躇するな」
 早く下りろといわんばかりに審判席を揺すられた。
「悪い……」
「いいよ、どこかでツケ払ってもらうから」
 にこりと笑うと朝陽は審判席に上がった。
 今から走って間に合うだろうか。
 いや、とにかく走れ――。
 まだ準決勝の段階だから、外での試合も終わってはいない。