画像に写るのは翠ともうひとりの女子。ジャージから二年とわかる。
 迂闊だったと気づいたのは球技大会が始まってから。
 紅葉祭準備に携わっているときのほうが一緒に行動することが多く、目も行き届く。
 が、球技大会中はそうはいかない。
 できるだけ翠の側にいようと思っても、自分は試合に出なくてはいけないし、生徒会の仕事もある。
 一学期とは違い、生徒会に入った翠は仕事の都合上、クラスの人間とは別行動を取らざるを得ない。
 簾条と佐野、海斗が同じクラスでこっちサイドの人間とはいえ、やはり試合と仕事に追われて一緒にいられる時間は限られていた。
 仕方ないから、その間のことは優太に任せたが、それでも万全といえる状態ではない。
 気にしていた矢先にこれだ……。
「藤宮」
 審判席の足元から声をかけられる。