「あの子、どこまで鈍感なんだろう」
 優太が机に突っ伏すとごん、といい音がした。
「でもさ、呼び出しの件は本当に気をつけてあげてほしい。うちの生徒灰汁の強い人間多いからさ」
 優太は嵐の件で目の当たりにしているから、翠が心配なのだろう。
「わかってる」
「おまえ、本物の白馬の王子になれるかもね」
 朝陽が楽しそうに言う。
「さぁね」
 俺にそんなことを言っている暇があるなら、こんなところにいないで戻って働け……。

 今言われたようなことを自分で考えた時期もあった。
 かまいすぎるのもどうなのか、と……。
 気になって仕方がなくて、翠を知りたいと思えば気づいたときにはかまいすぎと言われてもおかしくない状態になっていた。