歌の練習で渋々第三音楽室へ来ていた。
 今日は俺たちが準備室を使っていて、教室の方には翠たちがいる。
 とりあえずは人前で歌うことに慣れろ、ということで、優太と朝陽が俺についているわけだが、正直うんざりだ。
 けど、それを一週間も強要されれば慣れてしまう自分の順応力の高さを若干恨む。
 翠は大丈夫だろうか……。
 きっと翠は人前で何かをするということに慣れてはいない。
 とくに言葉を発することにおいては拍車をかけて……。
「そういやさ、司のその態度ってわざと?」
 急に優太に訊かれた。
 態度ってなんの話だか……。