「まだベースと和音構成くらいしかちゃんと聴けてないの」
「……は?」
 俺の一声は果てしなく間抜けな響きをしていただろう。
「メロディラインはなんとなく頭に入っているけれど、まだちゃんとは聴けていなくて……」
 御園生、訊いてもいいだろうか……。
「あのさ、どういう聴き方してるのか知りたい」
 御園生の机に顎を乗せ、ガッツリ聞く準備OK。
「え? まずは簡単にメロディラインを拾って、次にベースラインとって、その次に和音構成かな?」
 少し焦ってひとつひとつ順を追って答えてくれたけれど、
「たんまっ! 歌詞、歌詞はっ!?」
 歌詞はどこへ行ったっ!?
「あ、えと……一番最後、かな?」
 きょとんとした顔で見下ろされる。