佐野は外部生だからうちの風紀委員の職務を知らない。
「うちの風紀委員、結構優秀なの」
「え? 風紀委員?」
「うちのクラスだと和総なんだけどさ、学園内の風紀はもちろんのこと、いじめや嫌がらせ、噂のコントロールまでするんだ」
「……マジで?」
「マジで。だから、たとえば翠葉が呼び出しに合ったとしても、取っ組み合いになる前に風紀委員が介入する。陰湿ないじめについては証拠を揃えて学校へ提出し、生徒の停学処分にいたることもある」
「……なんつーか……どこまでも藤宮学園なんですね、って感じだな」
「だから、とりあえずのところ、そんなに心配しなくても大丈夫だとは思うけど、できれば翠葉に害は加えてもらいたくないから、ちょっとひとりにならないように気をつけたいところ」
「そうだな……。俺さ、御園生には学校が楽しいところだって思ってほしいよ」
「そんなふうに思ってんのは佐野だけじゃねーよ。うちのクラス全員がそう思ってる。だから、こういうのからは守れる限り守ろうよ」
「うん」
 そんな話をしながら夜は更けていった。