光のもとでⅠ

 資料の林へ戻っていく彼女の後ろ姿。
 それはとても線の細いものだった。
 夏休み前から体調不良で学校を休み始め、桃ちゃんの話だと、夏休み中はずっと入院していて治療を受けていたという。
 かわいそうなくらいに痩せ細ってしまった。
 けれど、一学期の頃よりも司と彼女の距離が縮んだのは明確。
 それは名前の呼び方だけでなく、話し方、言葉遣い、接し方、彼女から司に近寄っていく距離だとか――何もかもが変わっていた。
 対応する司にも変化は見られた。
 表情が柔らかくなったり、急にフリーズしたり――あぁ、それは一学期からそうか……。
 ほかに変わったことといえば、無愛想な顔をしていても、呆れた物言いをしていても、なにもかもが、「翠だから仕方のない」と言っているようにしか見えない何か。
 うーん、愛情だね。