「初耳……」
「うーん……そう言われてみればこういう話したことなかったな?」
「うん」
「ま、過ぎたことだし?」
「あ、言いたくないんだ」
「別に言ってもいいけど……それで俺たちに何かプラスになる?」
「私の知らない優太を知れる」
「俺のことなんて全部知ってるじゃん。あれ以上に何を知りたいわけ?」
 意味深な笑みを向けられる。
「――っもう! 優太のバカっっっ!」
「司には勝てないけど、嵐子には成績勝ってるよ」

 私たちはなるべく時間をかけられるように、と桜林館の外周廊下を反対方向から回って食堂に入ろうとしていた。
「ね……」
「ん?」