痛々しい痕が、あまりにも制服にそぐわなくて――目を逸らしたいと思うのに、目が放せなかった。
 なんであんなに痛々しいんだよ……。
 窓際の席に着き、再びパソコンのディスプレイに視線をやるものの、何も考えることはできなかった。
 脳裏に焼きついた、頬から首筋を消し去ろうとする自分と、胸のざわめきを検分しようとする自分。
 何か食べさせたい。
 せめて、初めて会ったときくらいの体重に戻したい。
 あのときだって標準体重だったわけじゃない。
 でも、今の翠は細すぎる。
 あんな身体で学校生活をまともに送れるのだろうか。
 不安ばかりが頭をよぎる。