「司はすぐ図書棟?」
 前の席の優太に訊かれる。
「その前に翠をピックアップ予定」
「ふーん……じゃ、俺と嵐子は飲み物を買ってから行くよ。なっ?」
 隣の席の嵐に声をかけると、話を聞いていた嵐が「うん」と笑った。
「何それ……」
「いや、司が翠葉ちゃんとふたりがいいかなー? と思って」
「なんたって、『ツカサ』って呼ばれてるしね~?」
 嵐がにやつきながら言う。
「何が言いたい?」
「何も~? ね、優太?」
「そうそう、別に何も言いたくないよな? ただ、ふたりでいたいんじゃないかと思っただけだよな?」
「じゃ、お先にー!」
 ふたりはそそくさと教室を出ていった。