「美術室の画材置き場でもいい?」
「いいよ……っていうか、私校内の穴場とかあまりわからないし」
「そうだよね」
 と、ふたりは笑った。
 移動している最中に教えてくれたのだけど、美術部は一年生が画材置き場の掃除をするらしく、そのまま居座ってしまうことから香乃と希和の秘密基地と化しているらしい。
 画材管理は三年生と言っていたけれど、今は香乃たちのほうが詳しいらしく、部長にまで頼られているのだとか。
 文化部の部室棟。
 そこは運動部の私には縁のない場所だ。
「私、思い切り部外者だけど入っても大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。先輩たちは活動時間のギリギリまで来ないから」
 香乃がにこりと笑う。