外は蒸しているのね……。
 秋斗さんが来るのは一時頃……。
 もう一度ディスプレイを見て、私はディスプレイの照明が落ちるまでじっと見ていた。
 何か困ることが書かれているわけじゃない。とても普通のメール。
 なのに、持て余している自分がいる。
 何も考える必要などないのかもしれない。でも何かを必死に考えようとしている自分がいて――。
 それでも、やっぱり考える内容など見当たらなくて、どうしてか困る。
 私は携帯を手に握ったまま目を閉じた。

 次に目が覚めたのは十二時半だった。
「あ……」
 十二時半といったら栞さんが家を出る時間を過ぎている。
 ドアの方を見ようとしたら、サイドテーブルにメモ用紙が置かれていた。
 それには、起こしたけど起きなかったことと、冷蔵庫にグレープフルーツのゼリーが入っているから、秋斗さんが来たら一緒に食べるように、ということが書かれていた。
 どうやら五時半過ぎには帰ってくるらしい。
 この家は指紋認証でロックを解除できるようにしたため、秋斗さんが来たときに私が起きる必要がないことも書かれていた。