「先生、宿題の回収をしてもよろしいですか?」
 私の提案ににやりと笑う担任。
 海斗、やっぱりあの笑顔に似てきてるわよ……。
「おうおう、きっちり回収してくれや」
 手元にある、クラスメイトの宿題提出冊子数が記されているプリントを片手に教壇へ向かおうとした。
 その際、未だ立ったままの翠葉に「座ったら?」と声をかけると、翠葉は席につき、かばんから花柄の手ぬぐいを取り出す。
 けれども、まだ身体は起こさない。
 きっと泣いている……。
 あとは海斗に任せるわ。
 そんな意味をこめて、海斗の肩を軽く叩いた。