気を利かせたつもりなんだろうけれど、この「誰だっけ」という顔をしている翠葉を見てしまうと、千里が居たたまれなくなる。
千里、あんた翠葉の中じゃ影が薄すぎだわ。
もうちょっと影を濃くして出直してらっしゃい。
そうね……藤宮司張りに黒くなったら存在を認めてもらえるんじゃないかしら。
「ほら、そこっ! っておまえたち、揃いに揃って生徒会役員じゃないか。とっとと中に入れ、ほかの生徒に示しがつかんっ」
川岸先生に指摘され、一同がはっとする。
ちょっとゆっくりしすぎたわね。
桜林館の中に入ると、全校生徒が整列を完了させる寸前だった。
「こっちよ」
翠葉を庇うように歩き始めると、
「翠」
後ろから藤宮司の声がした。
千里、あんた翠葉の中じゃ影が薄すぎだわ。
もうちょっと影を濃くして出直してらっしゃい。
そうね……藤宮司張りに黒くなったら存在を認めてもらえるんじゃないかしら。
「ほら、そこっ! っておまえたち、揃いに揃って生徒会役員じゃないか。とっとと中に入れ、ほかの生徒に示しがつかんっ」
川岸先生に指摘され、一同がはっとする。
ちょっとゆっくりしすぎたわね。
桜林館の中に入ると、全校生徒が整列を完了させる寸前だった。
「こっちよ」
翠葉を庇うように歩き始めると、
「翠」
後ろから藤宮司の声がした。