現場で倒れて、その日の内に静さんがゲストルームに連れ帰ったとのことだった。
 本当に限界までがんばっていたのだと、今こっちにいられるのはそのときに片付けた仕事の賜物だということも、私は何も知らずに口を出してしまったことになる。
 蒼樹くんやきれいな女の子に釘を刺されて当然だった。
 でも、静さんに会ったら詰め寄らずにはいられそうにない。
 そんなひどい状態で連れて帰ってきたのなら、なんで私に一言声をかけてくれなかったのか。
「美波ちゃん、静に文句言おうと思ってるでしょ?」
 クスクスと笑いながら訊かれる。
「当たり間じゃないですかっ! 私、同じ階にいたのに何も知らなくてカリカリ怒って怒鳴って悶々として、バカみたいっ」
「本当にあのときはごめんなさい。そのあと連絡もしなくてごめんね」
「もういいです~……なんか脱力。そうですよね……碧さんに限って子どもを蔑ろにしてるはずなかった。それだけはわかってたはずなのに……」
 どっと疲れが出た感じでラグの上に転がってしまう。