光のもとでⅠ

「そんな難しい顔しないでよ」
 そんなことを言われても、思わぬ展開すぎて対応しきれない。
 あぁ、この人が翠葉ちゃんのお父さんなのか……。
 このお父さんだから、あの翠葉ちゃんなのかな。
 そんなことを思う。
 いっぱいいっぱいになっている俺をよそに、
「それにしてもさ、やることが派手っていうか、藤宮っぽいよね?」
 零樹さんはおかしそうに笑った。
「でもさ、それで別にどうこうするつもりはない。……それが藤宮だろ?」
 確信でもあるかのような目に見据えられる。
「……っていっても、これは俺が知っている藤宮基準なんだよな。俺の基準になってるのは静。あの男に虎視眈々と好きな子や彼女、奥さんを狙われてみなよ。神経磨り減るってば」
 それはそれはげんなりとした顔で、今日会ってから一番の「最悪」という顔をしてみせる。