翌朝、ポーチのドアを開ける音で目が覚めた。
 外はもう明るい。
 何時だろう……?
 頭の脇に置いてある携帯を手に取ると、六時を回ったところだった。
 玄関のドアを静かに閉じる音がして、ゆっくりと部屋のドアが開かれた。
 ドアから頭だけを覗かせたのは蒼兄。
 目が合って「おはよう」と私から声をかけると、
「起こしちゃったか?」
 と、部屋に入ってくる。
「ううん。家にいたときはこの時間に目覚ましを鳴らしていたから」
「そっか」
「蒼兄はランニング?」
「そう。久しぶりに葵を誘って高校のトラックを走ってきた。葵、体がなまってて全然ついてこれないんだ」
 と、嬉しそうに話す。
 きっと、久しぶりに会った友達と積もる話でもしながら走っていたのだろう。
「高崎さん、朝から災難だったね」
「どうかな? そういえば、学校で佐野くんと会ったよ」
 その言葉に本当に六時過ぎには学校に来てるんだ、と少し驚く。
「心配してた。今日はみんなにメール送ってあげな」
「うん、そうする」
「じゃ、俺はシャワー浴びてくる」
 と、部屋を出ていった。