人を待つのって緊張するものだな……。
 俺は今、新しいパレスの建設現場に来ている。
 それは、ほかでもない翠葉ちゃんのお父さん、零樹さんに会うため。
 お昼休憩はしっかりとる人だと蒼樹に聞いていたが、十二時を回り、すでに三十分が経過していた。
「すまない、待たせたね」
 息を弾ませ、颯爽と現れた人。
 この人が翠葉ちゃんのお父さん――。
「こんな遠くまで来てくれてありがとう。いらっしゃい」
 ……それ、何か違う気がする。
「お忙しい中、お時間をいただき申し訳ございません。今日は謝罪にうかがいました」
 用意されていた椅子を立ち、頭を下げる。
「うん、そうみたいだね」
 目の前に立つ人は柔和な笑顔を崩さない。