その間、どうしてか建物のつくりの話しになり、それはそれで新鮮だと思えた。
 俺の将来のことを訊いてくるあたり、翠葉はまだ自分の将来について考えている最中なのか……。
「先が見えなくて怖い」と泣いていた翠葉――。
 きっと、それは今も変わらないのだろう。

 ふたりと別れ外に出れば、相も変わらず直射日光がじりじりと肌を攻撃してくる。
 車の中は蒸し風呂状態。
「暑すぎ……今年の夏、異常だろっ!?」
 暑さにも湿度にも気が滅入りそうな思いだったが、気分はどこか晴れ晴れとしていた。
 そう、この空のように。
 快晴で眩しすぎるほどの青空。
 翠葉の記憶は今も戻らない。
 でも、記憶があってもなくてもきっと大丈夫。
 秋斗先輩、司、大丈夫だよ。 
 相手は俺たちの妹、翠葉だから――。