そこへ静さんが現れ、なんてことないように病室へ足を踏み入れる。
「……オーナー、本当にすごいと思う」
 唯の一言に、
「無神経なだけでしょ。もしくは図太いっていうのよ」
 そんなふうに言えるのは湊さん。
 湊さんたちがいたのはナースセンター前の長椅子。
 俺と唯は一ブロック離れたところへ移った。
「あんちゃん、こっちでいいの? リィが気になるんじゃない? あっち、まだ定員オーバーっぽくないけど?」
 唯が湊さんたちの座る長椅子を指す。
 音を立ててイチゴオレのパックをちぅ~、と飲む唯を見て心が和んだ。
「おまえ、イチゴオレが似合うな」
「あぁ、オレかわいいからね」
 唯は極上の笑みを浮かべた。
 俺はいつもの缶コーヒー。