「簾条だけじゃないよ、そう思ってるの。うちのクラスはみんながそう思ってる。その結晶があのCDだろ?」
「そうね……」
「でさ、御園生、俺が見舞いにいったとき、まだCD聴いてなかったんだけど。俺は心が折れた」
 佐野がパタリとテーブルに突っ伏す。
「あら、それはまずいわ。翠葉に対するリクエストって奥華子の曲なのよ?」
 そうだった……。
「徹底的に聴かせないとだめね」
 きれいに微笑む桃華はいつもの桃華に戻っていた。
 桃華はバリバリの姉御肌で、基本表情を崩すこともない。けれど、翠葉が絡むと覿面なんだよな……。
 それだけ気にかけてる存在ってことなんだろうけれど、そういうところが司とかぶって見えて、ちょっと面白い。