「はい、海斗と千里、捕獲部隊出動!」
 久先輩から軽快な指示が飛ぶ。
 俺たちに拒否権なんてすてきライフカードは用意されていない。
 もう、とりあえずは言われるがままに動く。
 着替えが終わった佐野を拉致して図書室へ連行。
「持ってるものをすべて出したまえ」
 っていうのは別になんでもなく、持っているミュージックプレーヤーを出せ、というだけ。
 こいつは普段から複数のミュージックプレーヤーを持ち歩いている。
「海斗、俺、なんで拉致られてんだろ……」
 きょとんとした佐野に少し同情。
 数日前、その席を強要されたのは俺だった。
「ま、早い話がグルになろうぜ! ってところだ」
 話すと、その場のメンバーをぐるっと見渡し、
「いいいいいい……慎んで遠慮申し上げる」
 と、席を立とうとする。
 その肩をガッチリと押さえて立たせないのが優太先輩。